REIT銘柄への投資判断の基礎知識

不動産投資信託(REIT)は、安定した収入が期待できる投資先として人気があります。しかし、REITに投資するためには特別な指標を理解することが必要です。この記事では、REITの大事な指標であるFFO、NAV、NOI、インプライドキャップレート、LTVなどについてわかりやすく説明し、株式の指標との違いも比べてみます。投資に興味がある方にとって、とても役に立つ内容です。ここではJ-REITを対象としています。

  • REITの投資判断のためにみるべき指標がある
    • FFO、NAV、NOI、インプライドキャップレート、LTV、固定利率
  • 株価の指標と似ている部分がある
目次

FFOとFFO倍率の理解

  • FFOは収益力を示す
  • FFO倍率は収益力に対する市場の評価を示す

FFO(Funds from Operations)は、REITがどれだけキャッシュフローを生み出しているかを見るための大事な指標です。REITは不動産を持って運営し、そこから収入を得るので、普通の利益だけでなくキャッシュフローの理解も大切です。FFOは、純利益に減価償却費を足したもので、物件から得られる現金収入をより正確に反映しています。これにより、REITが生み出すキャッシュフローの実態に近い数字がわかります。

FFOの算出方法

FFO=当期純利益+減価償却費±不動産売却損益

FFO倍率は、株式のPER(株価収益率)に似た指標です。この倍率が高いとREITが過大評価されている可能性があり、低いと割安な可能性があります。

FFO倍率の算出方法

FFO倍率=投資口価格(REIT価格)÷1口あたりFFO(注1)
注1) 1口あたりFFO=FFO÷発行済み投資口数

  • Jリートの場合は減価償却費の扱いや保有資産によって減価償却費の割合が異なる場合があるため注意が必要

NAVとNAV倍率の重要性

  • NAVはREITが保有する純資産の価値を示す
  • NAV倍率は投資口価格の割安度を示す

NAV(Net Asset Value)は、REITが持つ純資産価値を示すものです。具体的には、不動産の時価評価から負債を引いた純資産です。このNAVをもとにしたNAV倍率は、株式のPBR(株価純資産倍率)に似ています。

NAVの算出方法

NAV=純資産額+含み損益

NAV倍率が1倍を超えていると、市場は不動産の時価以上の価値を見ていることを意味します。例えば、1倍を超えると物件が高く評価されていることを示し、投資家が物件の将来性に期待していると考えられます。一方、1倍を下回ると割安であり、物件の価値が市場価格よりも低く見積もられている可能性があります。NAV倍率は、REITの価値を判断するための大事な材料です。

NAV倍率の算出方法

NAV倍率=投資口価格÷一口あたりNAV

NOIとNOI利回りとは何か

  • NOIは純営業利益を示す
  • NOI倍率は収益性を示す

NOI(Net Operating Income)は、REITが不動産から得る純営業利益です。NOIは家賃収入から運営費用を引いたものであり、物件自体の収益力を示します。

NOIの算出方法

NOI =不動産の賃料収⼊-不動産の運営管理にかかる費用(減価償却費を除く)

NOI利回りは、NOIを物件の価格で割ったもので、投資物件の収益性を表す指標です。株式で言えば配当利回りに似ています。NOI利回りが高いと、それだけ収益性が高いことを意味します。

NOI利回りの算出方法

NOI利回り=NOI÷不動産価格

償却後NOIとその利回りの考え方

  • 償却後NOIは純営業利益を示す(減価償却込み)
  • 償却後NOI倍率は収益性を示す(減価償却込み)

償却後NOIは、NOIから減価償却費を引いたものです。NOIはキャッシュフローを示しますが、減価償却を考慮することで物件の老朽化や価値の変化も考えた収益力を評価できます。

償却後NOIの算出方法

償却後NOI=NOI-減価償却費

償却後NOI利回りは、減価償却を含めた収益性を評価するため、物件の長期的な運営状況をより正確に把握するのに役立ちます。これにより、現実的な投資判断ができるようになります。

償却後NOI利回りの算出方法

償却後NOI利回り=償却後NOI÷不動産価格

インプライドキャップレートとLTVの活用

  • インプライドキャップレートは市場からの要求利回りを示す
  • LTVは不動産の借入リスクを示す

インプライドキャップレートは、REIT全体の市場評価とNOIから計算される指標です。このキャップレートが低いと、市場は物件の収益性を高く評価しています。逆に高い場合は割安と見なされることが多いです。

インプライドキャップレートの算出方法

インプライドキャップレート=NOI÷買収価格(注1)

注1) 時価総額+ネット有利⼦負債+敷金・保証金

また、LTV(Loan to Value)はREITがどれくらいの負債を抱えているかを示す指標です。不動産の価格に対する借入金の割合を示しており、LTVが高いとリスクも高くなりますが、収益性が上がる可能性もあります。

固定比率とその重要性

  • 固定比率は金利の安定性を示す(固定金利の割合)

固定比率とは、REITが持つ負債の中で、固定金利で借りている割合を示します。固定比率が高いと、金利が上がっても影響を受けにくくなるため、安定した収益を得やすくなります。一方で、固定比率が低いと金利の変動に影響されやすく、リスクが増えます。

金利が上がっている時期には、固定比率が高いREITの方が収益の安定性が高まるため、魅力的に見えることが多く、投資判断の際の重要なポイントになります。

株式指標との比較で考えるREIT投資判断

REITの指標は株式の指標と似ているところがあります。例えば、NAV倍率はPBRに、FFO倍率はPERに、NOI利回りは配当利回りに似ています。これにより、株式投資の経験がある人には、REITの評価も理解しやすいでしょう。

ただし、REITには特有のリスクや利回りがあり、単なる株式投資とは違った視点での評価が必要です。こうした点を理解することで、より良いポートフォリオを作ることができます。


まとめ

REIT投資は安定した収益を得るために良い選択肢ですが、そのためにはいくつかの指標をしっかり理解することが大切です。FFO、NAV、NOIなどの指標を理解し、株式投資との違いを知ることで、より良い投資判断ができます。特に、NAV倍率やFFO倍率といった指標は、株式投資経験者にとってもわかりやすいので、これらを活用して自分のポートフォリオを強化していきましょう。

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この記事を書いた人

私は投資歴20年以上の投資家で、現在はFIRE(経済的自立と早期リタイア)を目指して資産運用に取り組んでいます。このページでは、私の投資の旅についてや、FIREを目指す理由、これまでの経験をもとに学んだことなどを紹介します。少しでも皆さんの投資のヒントになれば幸いです。

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